アラン・ロベールは、フランスのメニル・シュール・オジェ村にあるシャンパーニュの生産者です。
ノルマン貴族の血筋を引くアラン・ロベールによって17世紀に設立され、「消えゆく伝統を守る最後の作り手」と称されています。
メニル・シュール・オジェ村にはクリュッグやサロンといった有名なシャンパーニュ生産者が存在します。
これらは自社のブドウ園は持たずに果実や果汁、樽詰めワインなどの形で生産者から仕入れたものを自社で醸造または貯蔵・熟成を行い自社ブランドとして発売しているネゴシアンと呼ばれるシャンパーニュ生産者です。
一方、アラン・ロベールはシャンパーニュの小規模自家栽培・醸造メーカーで販売も行う生産者であるレコルタン・マニュピュランで、そのこだわりは際立った個性を発揮しています。
アラン・ロベールは、メニル・シュール・オジェ村で、最後まで樽醸造にこだわっていた数少ない生産者でした。
樽での管理は温度や衛生の管理が難しく、1960年以降ステンレスタンクが使われるようになるとほとんどの生産者がステンレスタンクへと移行していきました。
しかし、アラン・ロベールは1990年代まで樽での醸造にこだわり、コストよりも品質を重視してきました。
そのため、一次醗酵は大樽で行い、二次発酵は一般的なボトル・キャップで栓をした瓶で行われていますが、ここでもアラン・ロベールのこだわりが見られます。
それは通常、瓶での発酵は王冠(金属の蓋)を使ってコストを抑えているのですが、アラン・ロベールではコルク栓を使用しています。
コルク栓で瓶内発酵を行う事は酸化が少ないというメリットがありますが、コルクに付着した菌によって中身が汚染されてしまうブショネとなる危険性が高まります。
アラン・ロベールでは受注を受けてから澱引き作業であるデゴルジュマンを行うため、ブショネが世に出回る事はありませんが、ブショネは全て廃棄処分となっています。
そんなアラン・ロベールの人気はフランスよりもアメリカや日本の方が高く、これはワイン評論家のロバート・パーカーがワイン・バイヤーズ・ガイドで5つ星の生産者と評価した事が大きく関係しています。