備前福岡一文字派の打った代表的な名刀です。
上杉謙信の愛刀のひとつとしても知られています。
「姫鶴一文字」という名の由来には伝承が残されています。
無銘ではあったものの、見た目がとても美しいこの刀を
上杉謙信は数ある刀の中でも特に気に入っていました。
ある時、上杉謙信は馬上で使いやすいように
この刀を磨上げることを御腰物係に命じます。
御腰物係からその刀を預かった研師は、
「大事な刀に何かあってはいけない」と考え、刀を抱いて眠りました。
すると夢の中に美しい姫君が現れ、
「どうか切らないで下さい」と涙ながらに訴えてきました。
翌日、予定していた磨上げを中止し
再び刀を抱いて眠ると、同じように姫君が訴えてきます。
姫君の名を聞くと「鶴と申します」と言って消えてしまいました。
研師は事情を御腰物係に相談し、
半信半疑で御腰物係も同じように刀を抱いて眠ると
研師と全く同じ夢を見ました。
その後、上杉謙信との相談の後に磨上げは中止となったそうです。
現在は重要文化財に指定され、米沢市上杉博物館に所蔵されています。