室町時代から戦国時代に活躍した刀工一派です。
海部派の始まりは、南北朝時代までさかのぼります。
阿波国(徳島県)の海部川一帯を支配していた「海部氏」が
川の水や地域で採掘される、砂鉄などの良質な素材を使用し
自国を守るために作刀を開始しました。
その後、室町時代から戦国時代に
相州・備前・関・薩摩などの作刀技術を導入すると
最盛期を迎え、60人以上の刀工が活躍していました。
海部派の刀は「岩切海部」など、切れ味の良い刀を作刀し
各地の戦国武将から愛用されていました。
しかし、海部氏の「海部城」が落城すると
次第に衰退を始めてしまいました。
それを知った徳島藩主の「蜂須賀家」は
江戸時代になると海部派の刀工を徳島城下へ呼び、
徳島で作刀を続けさせました。
現存する作刀の中には、相州伝の「正宗派」に
匹敵するほどの秀作も残されています。