喜多川派は江戸時代に活躍した装剣金工一派です。
祖は藻柄子宗典(そうへいしそうてん)といい、近江国(現・滋賀県)を拠点に活動していました。
藻柄子宗典は二代・宗典ともいい、喜多川派の代表金工としてその名が挙げられています。
父親も金工として活躍しており、彦根藩士川喜多氏に依ったことから喜多川を姓とし、宗典と名乗るようになったといわれています。
この時に彦根城下中藪に住み、目抜き、縁頭、鍔、小刀などに花鳥、風景、合戦図などを高彫り象嵌や色絵の技法を駆使してにぎやかに表す「彦根彫」と呼ばれる技法を確立させました。
こうした父親の仕事を見て育った藻柄子宗典は金工の道を進み、鉄地丸形のものに武者や仙人などを肉彫りや象嵌色絵で表した作風を展開し、手間をかけた彫りに華やかな象嵌を施した独特な手法を発案し、「近江彫」とも呼ばれ、その濃密な彫りは一世を風靡しました。
喜多川派は初代・宗典、藻柄子宗典によって生み出された技法を駆使しながら、花鳥風月、合戦図、人物などを題材に制作し人々から高い人気を呼び、鐔のみを制作していました。
