現・京都府出身の戦国時代に活躍した日本の装剣金工です。
後藤四郎兵衛家(藤原本家)の2代目を襲名しており、足利家に仕えていた人物です。
在銘品はなく、現存する後藤宗乗の作品とされるものは後代の後藤家の極めによるもので、その中でも「伝宗乗」といわれている物は一級品ばかりです。
先代である父・祐乗の作風をよく受け継ぎ、「後藤風彫金」を完成させ、後藤家の伝統の基礎を固め、後藤家の格調を高めた名工として知られています。
後藤本家は室町幕府第8代将軍・足利義政に仕えた後藤祐乗を祖とし、室町時代~江戸時代にかけて御用達の彫金を家職としてきた一門です。
江戸時代では大判座、分銅座を主宰して特権的職人の地位を占める存在として活躍を見せていますが、後藤宗乗の時代は戦国時代ですので、主に刀装具の制作を中心に行っていました。
後藤宗乗は、後藤家の祖である後藤祐乗の次男として生まれており、本来は家督を継ぐ立場ではありませんでした。
しかし、長男であった兄が早くにこの世を去ってしまったため、2代目を襲名しました。
40歳で入道して法号である「宗乗」を名乗るようになり、後藤家にとって大きな功績を残しました。
ちなみに、「祐乗」「宗乗」「乗真」という後藤本家三名は「上三代」と称され、武家の間でとても好まれていたそうで、希少価値が高くなっています。