江戸時代中期に活躍した日本の装剣金工です。
奈良派で最も有名な金工として、土屋安親、杉浦乗意とともに「奈良三作」の一人にその名を連ねており、高肉彫りや象嵌の技法に独特の特徴が見られ、薄肉彫りでは花鳥、人物の表現に何とも言えない味わいを感じる事ができます。
装剣金工ですが、縁頭の制作が中心で、鐔の作品数は少ないでのすが、『大森彦七図鐔』『牟礼高松図鐔』『雨下猛虎図鐔』は重要無形文化財として保存されています。
その中でも『大森彦七図鐔』に彫られているのは鬼で、この鬼は楠木正成の怨霊で、彦七に祟りをなそうとする姿を図案にしたものでした。
また、奈良利寿の彫る鬼は色気があると評価されています。
奈良利寿は江戸で生まれ、通称は太兵衛といいました。
奈良派3代・利治の門人で、一節には4代・利永の門人とも言われ、「奈良三作」の中では最年長で、最も優れた技量の持ち主だったと言われています。
奈良利寿は藩お抱え工ではなかったため、自由で個性的な作風で素晴らしい名品をいくつも残しました。
