九州の肥後国にあった「同田貫」を本拠地とし、
延寿派の末流である刀工の一群です。
1588年に加藤清正が熊本に入城した際に目に留まり、
お抱え刀鍛冶となりました。
そして朝鮮出兵時に同田貫を持って行き、活躍した事から
同田貫一群は日本中で有名な刀鍛冶となりました。
「剛健にして折れず曲がらず」という言葉が残っているほど
美装よりも実用本位で鍛えられた刀として知られています。
それを実証する有名な出来事のひとつに「天覧兜割り」があります。
1886年に開催された明治天皇の行幸で、
弓術、鉢試し、能楽、狂言などが催されました。
この催しの中で、刀での「鉢試し」を天覧兜割りと呼んでいます。
刀の鉢試しには榊原鍵助、逸見宗助、上田馬之助が出場し、
逸見宗助と上田馬之助は失敗に終わってしまいましたが
榊原鍵助は同田貫を使用し兜の斬り込みに成功しました。
この出来事は榊原の剣豪としての名声を高めると同時に
同田貫の強度を物語りました。
熊本県玉名市には「同田貫跡」と刻まれた石碑が残っており
国内のみならず、海外から観光客が訪れる場所となっています。