東京都出身の昭和~平成時代に活躍した日本画家です。
還暦を過ぎて出家得度し、画僧として活躍した事で知られており、仏教をテーマにした南画的なフォービズムな画風を展開した事で知られています。
この事は現代水墨画の大家と評されるほどでNHK教育テレビ「水墨画入門」において講師をつとめるなど、メディアにも露出している珍しい画家でした。
また、幼い頃から姉の嫁ぎ先である富山を訪れてから富山との関わりは深く、岩崎巴人が亡くなるまで続いていたそうです。
中学校に通いながら川端画学校夜間部日本画科専攻で学んでいた岩崎巴人は、本名を彌壽彦(やすひこ)と言います。
中学校を卒業してから小林古径に師事して日本美術院展で初入選を果たすと以後数回の入選を果たします。
しかし、戦時中であったため徴兵され、その時の従軍経験や戦争で荒廃して変わり果てた風景を目の前にした時、強い衝撃を受け、画家として命そのものを画面に残す事を決意しました。
そのため、活動の場を日本人の誰もが心の底に流れている内なるものを素直に表現した作品の創造を求め、形式や技術にとらわれない純粋な精神の高揚を求める作家の集まりである日本表現派へと移し、自分が描くべきものは何なのかを模索する日々が始まりました。
そして、インドへ巡礼の旅に出るとブダガヤ(ブッダガヤ)の大乗院日本寺に壁画を描くなどして仏教、仏画の世界に傾倒し、帰国してから京都永観堂禅林寺にて出家得度(法名・善空)しました。
こうして仏画家としての道を歩み始めた岩崎巴人は、富岡鉄斎風の大胆なフォービズムな作風を展開し、個展中心に作品を発表していきました。
また、晩年は千葉県館山市で活動を行っており、館山市の名を全国に広めたとして館山市の名誉市民となり、館山市に多数の作品を寄贈しています。