日本の小説家。
本名、樋口奈津。
1872年、東京の官吏の次女として誕生。
小学校高等科を首席で卒業するほど聡明だったが、以後学校教育は受けていない。
小学校の頃から和歌を作りはじめ、その詩であった中島歌子の歌塾「萩の舎(はぎのや)」に入門し、和歌を詠むために必要な古典の教養を身につけた。
長兄を喪って家督相続人となった後、父親も事業に失敗して病死したため、一家の生計を支えることになる。
歌塾の姉弟子であった三宅歌圃の作品が注目されたことに刺激され、女流作家として身を立てることを決心する。
作家・半井桃水に師事し、『闇桜』を発表したが、半井との関係が取りざたされ別離を余儀なくされた。その後に発表した『うもれ木』で注目される。
肺結核により24歳の若さで生涯を閉じたが、その短い作家生活の中で『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』など文壇から絶賛される傑作を生みだした。
死の直前にいたるまで記された日記は、樋口の最高傑作との呼び声も高い。