東京出身の日本画家、洋画家、 版画家です。
日本よりも海外で評価が高い作家です。
本名は川瀬文治郎(かわせ ぶんじろう)といいます。
糸組物(組紐)職人・庄兵衛の長男として生まれ、父親の跡を継ぎますが、画家になる夢を捨てきれず、妹夫婦に商売を任せ、27歳で日本画の世界に飛び込みました。
日本画家・鏑木清方の門を叩きましたが、20代も半ばを過ぎていた為、難色を示され、洋画家への道を勧められてしまい、白馬会葵橋洋画研究所に入り岡田三郎助から洋画を学びます。
しかし、洋画の世界でやっていく事ができず、一度は入門を断られた清方に再度入門を申し出て2年の修行を経て「巴水」の画号を与えられました。
師の清方が得意とした美人画で行き詰まりを感じ始めた頃、伊藤深水の版画「近江八景」に影響を受けて版画家に転向し、終生、夜、雪などといった詩情的な風景版画を貫きました。
日本各地を旅行し、旅先で写生した絵を原画とした版画作品を精力的に発表していましたが、関東大震災によって被災し、多くのスケッチを失ってしまいました。
また、衰退した日本の浮世絵版画を復興すべく吉田博らとともに新しい浮世絵版画である新版画を確立した人物として知られており、「増上寺の雪」が無形文化財技術保存記録の作品に認定されています。