日本の哲学者、京都学派の創始者。
1870年、石川県に生まれる。四高を中退後、東京帝国大学哲学科選科に入学する。ここで井上哲次郎、ドイツのブッセ、ケーベルなどに学ぶ。第四高講師時代に参禅への関心が高まる。1899年には同校教授として西洋哲学の研究とともに雪門老師に参禅、寸心居士の号を受ける。
1910年、京都帝国大学の助教授(13年に教授)として赴任。翌年、西洋哲学と十分比肩しうる近代日本哲学の最初の独創的著作となる「善の研究」を刊行し、思想界に衝撃を与えた。
彼の思索は、自身の禅経験を踏まえた東洋的思考、日本人の心性を根底にして西洋の論理を追求していく。純粋経験をキーワードとした「善の研究」以降も、自覚論、場の論理、最終的に宗教的、道徳的に統合される絶対矛盾的自己同一論へと展開していくが、これらの概念によって、西田哲学といわれる独自の体系が築かれていくことになる。体系にその名が付けられるのは日本の近代以降の哲学者の中では唯一といわれる。田辺元ら京都学派と呼ばれるその学派とともに、欧米での評価は高い。