雨畑硯は山梨県郷土伝統工芸品に認定されている中国の端渓硯にもにも匹敵する質感ときめ細かい肌質で、墨のあたり、おりに優れた日本を代表する和硯の一つです。
雨畑川上流の稲又山付近に連立する石層から採石され、原石の色調は蒼黒の石、淡青の石、紫色の石の三種類がありますが、主に黒色が多く採石されます。
硯の形は天然の姿を生かした方形や円形などのデザインを決めて彫刻を施したりしています。
水分の吸収が少なく、普通の硯では数時間で水を吸収してしまいますが、雨畑硯は一晩おいても水が残っているといわれています。
また、細かく均質に石英などの粒子がならぶ鋒鋩が多量に含まれおり、石の目に対して適度な角度と硬度を持っているので、長持ちすると昔より多くの文人墨客に愛用されてきました。
雨畑硯の始まりは、日蓮大聖人の弟子であった日朗聖人が偶然に発見し、上質の硯が出来るといわれたのが始まりといわれています。
德川の時代になると原石の切り出しを禁じられてしまい、流石で製作することしかできなくなりましたが、月日が流れ当時の将軍・徳川家茂にその硯を献上した所、その素晴らしさが認められ原石の切り出しが許され、本格的に雨畑硯の生産が始まり世の中に広まっていきました。
明治に入ると「雨畑硯製造販売組合」が設立され、模造品などの鑑定や正しい知識の伝承、製作技法の開発などを行いました。
現在は、採石できる石も少なくなり、硯を作る職人が少なくなっているため、大変貴重な硯として人気を高めています。
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