山口県宇部市西万倉で採石される赤間石で作られる硯で、国の伝統工芸品として認定されています。
赤間石は紫雲石(しうんせき)・紫青石(しせいせき)・紫玉石(しぎょくせき)・紫石(しせき)・紫金石(しきんせき)の5種類があり、一番多いのが赤みを帯びた紫雲石です。
鎌倉時代に赤間関(現:下関市)で作られ始めたのが名前の由来となっており、神奈川県・鎌倉市にある鶴岡八幡宮に奉納された御物に赤間硯があります。
鋒鋩の大きさが一定していて良いのですが、小さいため、目立て用の泥砥石で硯の陸(おか)を研ぎ、鋒鋩を立てることによって細かい墨を磨る事が出来、墨色の良いさらっと伸びる墨になるので仮名文字などの細かい表現のものを書くのに適しています。
江戸時代では藩主の許可がないと採石出来ず、赤間硯は藩主の贈答品などに使われた貴重な硯でした。
明治時代初期~中期になると一般的にも硯を使うようになり需要が増え、赤間硯の生産の最盛期を向かえ200人近くの職人がいました。
しかし、現在では硯を作る職人自身が採石しており、採石道具の刃物を自分でつくり、採石の習得に10数年かかるといわれ職人の数は少なくなっていく一方で、採石権は市区住人に限られているため、後継者不足の理由の一つとされています。
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