松尾芭蕉が絶賛した鳳来寺山の名産品の鳳鳴石でできた硯です。
滑らかに墨が磨れ、墨色も鮮やかな粒子の細かい墨が磨れ、仮名作品用に適しています。
鳳来寺山開山当時の約1300年前から作られていたと伝えられ、鳳来寺堂塔の建立に協力した大工や参拝客が国元へのみやげに持ち帰ったり、室町時代には将軍が硯石を都に取り寄せ、都の職人に彫らせ、愛用したなど昔から多くの人に愛されてきました。
金鳳石、煙巌石、鳳鳴石の三種類があり、金鳳石がもっとも良質なもので当時の寺林から産出したことから、別名寺林石とも呼ばれていました。
石は漆黒ですが、無数の金銀星(黄銅鋼、黄鉄鋼、褐鉄鋼、白鉄鋼などの結晶体)を有するため、仕上がった時に美しく光り輝くのが特徴です。
本格的に生産が始められたのは明治20年の頃からで、山梨県から職人が移住して来たといわれています。
仕上げに本漆を使って仕上げているものは、日本においては数少ない硯となっています。
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