板硯とは墨池や墨堂のない板状のままの硯の事で、日本では「硯板」と呼び、中国では「板硯」と呼ばれています。
どうしてこのような硯が誕生したのかというと、硯は石を削って作られるものなのですが、素材である石が逸材であるため、どこも削るのが惜しいとされた場合のみ、できるだけ原型をとどめた形で流通するようになったのが、板硯の始まりです。
形には長方形の他にも円形、正方形など別の形が存在し、厚みがあって重量感のあるものや、硯面の周囲に僅かに縁辺が高くなっているものなどがあります。
板状の硯ですが使い方は普通の硯と同じですが、使用する目的の濃度の墨液を作るのではなく、濃く磨った練り状の墨液を作り、少しずつ水を加えよく練って他の容器に移せる濃度になったところで墨池などの適切な容器に移して使います。
この時に墨を薄めるという感覚ではなく、墨液と水を練り合わせていく感覚で混ぜていく事で板硯の本領を発揮する事ができます。
そのため、板硯は玄人向けの硯として使われる事が多く、こだわりを持つ人にとっては最高の硯といえます。
また、蒔絵(まきえ)などを施した板に料紙を挟み、上に硯をのせ、紐で結んだものも板硯と呼ばれ、床棚の飾りとしています。
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