文鎮は書道をする際に風などで紙が飛ばないように紙を押えておくための道具で、別名を「鎮紙(ちんし)」といい、古くは「書鎮(しょちん)」、「卦算(けいさん)」とも呼ばれていました。
実際に半紙に文字を書く時、文鎮がなければ筆が半紙に引っ付いてしまい、文字がうまく書けなくなりますが、文鎮を置く事で筆が離れ、流れのある文字を書く事ができるようになります。
文鎮の形は細長いものが多く、つまみがついていたり、四隅に置けるものであったりと様々で、硯山(けんざん)、印材、古銅印、鐔、矢立などの転用品も多く作られました。
この他にも動物、昆虫、野菜、果物、花、そして龍や鳳凰などの架空の生き物をモチーフとした文鎮が見られ、これらの精巧な細工が施された文鎮は、書道以外にもペーパーウェイトとしても使用され、中にはコレクションとして集めている人もいます。
また、実用性を重視した装飾のない汚れを落としやすいようにプラスチックで表面が覆われた文鎮も存在し、主に学童用として使用されています。
文鎮の素材は鋳物を中心に、銀メッキを施したものや真鍮、陶器、ガラス、そして紫檀や黒檀などの木材に鉛を入れたものなどが使われています。
そして高級品の文鎮には玉(ぎょく)や象牙といった貴重な素材が使われていました。
そんな文鎮は耐久性が高く、落としたりしても簡単に壊れてしまう事がないように作られています。