蓬莱硯
蓬莱硯は、蘭亭硯と並ぶ宋代の2大硯式の一つで、楕円形のものが多く、硯面に蓬莱山と仙閣を描き、側面には一六羅漢を、背面には海中龍魚を彫刻した硯です。
端渓、洮河緑石で作られたものが多く、澄泥、歙川で作られたものが少ない事は蘭亭硯も同じです。
蓬莱硯に彫られている蓬莱山は古代中国の東の海上(海中)にある仙人が住むといわれていた仙境の一つで、道家思想を伝える代表的な古典『列子』には五神山として岱輿、員嶠、方壷、瀛州、蓬莱が挙げられています。
ちなみに司馬遷の『史記』には方丈、瀛州、蓬莱が三神山に挙げられており、この中で最も有名なのが蓬莱山です。
また、蓬莱山には台観が金玉で作られ、玉樹があり、その実を食べれば不老不死になるという伝説がありました。
そのため、徐福という人物が奏の始皇帝に不老不死の薬がこの山にあると話を持ちかけ、奏の始皇帝から資金を集めたという話が残されています。
また、徐福については日本、韓国にも伝承が残されており、不老不死の薬を求めて日本に来たとされています。
そんな蓬莱硯ですが、宋と明の時代に盛んに作られましたが、宋の時代の方が美術的価値は高いとされています。
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