端渓硯と並び称される名硯です。
原石は南京の南に位置する歙県安徽省の竜尾山付近から掘り出されます。
石質は堅く、叩くと金属的な高い音がしますが、特定の方向へ割れやすい劈開(へきかい)という性質のため、細かい彫刻には向いていません。
この硯には多種多様の石紋が表れ、他石にない独得の美しさを持っており、羅紋、水波紋、眉子紋、金星、金暈、魚子紋など五つの系統に分けられます。
この硯で墨をすると、きめ細かい石質なので油煙墨の光沢を引出し、墨堂(丘)もツルツルしているので水の吸収率が低いため乾きにくく発墨が良いので仮名や細字用に適しています。
しかし、採石期間が短かったため現存する歙州硯は極めて少ないといわれています。
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