別名を木硯、木砂硯、行旅硯といい、漢の時代の文献にその名前が記載されており、本格的に生産が始まったのは宋の時代だといわれています。
清の時代に揚州の漆砂硯の名家・慮映之(ろえいし)は「宋宣和内府製」の漆砂硯を真似て作り、揚州八怪の金農(冬心)や、遠牧(隋国)などの賞賛を得ました。
製作がとても複雑で、木を使って形をつくり、硯面の鋒鋩を出すために川砂等の微細な粒状のもの を使って漆と合わせて何十回も塗り付けます。
漆で強く固めてあるので耐久性があり、摩墨、発墨も良く、木で出来ているため軽くて携帯するのにも便利で実用性の高い硯です。
また、木の部分には漆器と同じように細工ができるので、書道家、画家は詩や画を刻んでオリジナルのものを持っていたといいます。
日本でも江戸末期に活躍した漆工家・玉楮象谷によって制作されたものがあります。
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