水滴は墨をするために水を加える時に使用する硯に水を注ぐための道具です。
水を一滴ずつ出す事ができるため「水滴」と呼ばれており、注ぎ口が大きいものは「水差し」と呼ばれています。
日本では古くは「須美須里賀米」や「硯瓶」と書き「すみすりがめ」や「すずりがめ」と呼ばれていました。
また、形状によって硯滴、水盅、水中丞、水盂、蟾蜍とも称される事があります。
素材は銅・鉄・錫などの金属、陶器、朱泥、ガラス、漆器、玉(ぎょく)などが見られ、珍しいものでは紫檀やひょうたん、そして硯で湯名な端渓石などで作られたものもあります。
ちなみに日本で金属製の水滴で銅製の場合、高岡銅器がシェアの90%以上を誇っています。
水滴の構造は注ぎ口以外に小さな穴が開いており、その穴を指で押さえ、ゆっくりゆるめる事で水が一滴ずつ出る仕組みになっています。
そのため、少量の水加減をしたい場合は水滴を使い、大量の水を使用した場合は水差しを使うなど書道の世界でも使い分けがされています。
基本的に手に持ちやすいように小さく丸い形をしている水滴が多いのですが、小鳥、動物、果物、野菜、急須といったユニークな形の水滴も多く作られています。
また、金属の場合は龍や鯉といった意匠を凝らした水滴も見る事ができます。
この他にも硯箱に組み込まれた水滴も作られており、水滴の雰囲気に合うように硯箱の装飾が施されているのが特徴です。