挿手硯(そうしゅけん)は硯の背面に手を入れて持ち運べるようになっている硯の事で、目にする機会の多い普通の硯と比べても高さがあるのが特徴です。
また、持ち運ぶための硯という事で、背面を削る事で軽量化の効果も得ています。
同じような形の硯で太史硯というものがありますが、太史硯の背面には星座が刻まれています。
太史硯の太史とは古代中国の官職の一つで、星座や星の運行などの暦法、法規、そして宮廷内の記録などを司っていました。
そのため、太史硯の背面には星座が刻まれているのです。
また、挿手硯と太史硯の大きな違いは縁が太史硯ほど分厚くない事と、墨堂から墨池までなだらかな傾斜である事です。
挿手硯は宋代から作られるようになり、明代には盛んになりましたが、清代に入ってからは硯の芸術性を重んじるようになったため、実用性を重視し、芸術性を感じない挿手硯は次第に衰退していきました。
そのため、宋代を代表する作硯様式といっても過言ではありません。
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