トウ河緑石硯は端渓硯、歙州硯、紅絲硯と合わせて中国四大名硯と呼ばれ、北宋中期甘粛省トウ県のトウ河の深底から採石されていた石から作られた硯です。
端渓硯を超える名硯といわれていますが、河の氾濫により採石場所が失われ、採掘期間も短かったので現存するものは極めて少なく、幻の硯と呼ばれています。
幻と言われているこの硯で墨を磨ると、ほんの短い時間でも十二分に磨れ、磨った液が滑らかに伸び、かなり薄めても墨色は水っぽくならず、薄墨としての風合いを保ちます。
そして、墨を磨り終わった後、サッと水をかけるだけで硯面が綺麗になるのが特徴です。
トウ河緑石硯は石質によって特級品、高級品、中上級品、中級品などに分けられ、特級品は鴨頭緑といい、透明感があり、空を漂う雲や川の水のような石紋があるのが大きな特徴です。
高級品には深緑色、もしくは灰色をした中に水波の石紋などが入っており、中上級品には紫色をしたものや瓜の皮の色に近いものなどが見られ、緑端渓と間違えられる事もあります。
中級品は雲龍のような石紋が見られますが、石質は軟らかく、磨った墨の発色が劣ります。
現在販売されている端渓緑石、新トウ河緑石などは全くの別物で、緑端渓などで作られた硯が誤ってトウ河緑石硯と紹介されていることも多いそうです。
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