陶硯(とうけん)は陶器で作られた硯の事で、材質が磁器なら磁硯、瓦器なら瓦硯といいますが、それらを一括して陶硯と呼ばれています。
石の硯が登場するまでは多く用いられていた陶硯ですが、中国では唐代、日本では平安時代に衰退し、現在では制作にも手間がかかるためあまり用いられていません。
そんな陶硯ですが、はじめから硯として窯で焼かれたものと、甕や食器を整形・研磨して再利用した転用硯が存在します。
どちらの場合でも陶器の表面がザラザラしているため表面を磨かなければなりませんでした。
また、形状も現在多く見られる長方形の硯の形ではなく、丸い皿のような広いくぼみがあり、そのくぼみに墨を磨る部分と墨液を溜める部分に分けられていました。
陶硯は陶器の硯という事で、石の形や紋様を利用して作る石の硯とは違って造形の自由度が高く、複雑な形の陶硯も存在します。
しかし、形が複雑になればなるほど焼き上げ時の破損の可能性が高く、高級品として扱われてきました。
古くに作られた陶硯は脚を付けたものが多く、まれに蓋付の陶硯も見る事ができます。
現在でも陶硯は作られていますが、実用性よりも工芸品的な要素が強く、最新技術を駆使して作られた花陶硯(はなとうけん)は、使いやすさはもちろん、磁器ならではの絵付けのデザイン性が注目されています。
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