和墨 修正後
和墨(わすみ)は日本で作られている墨の事で、中国から墨の製法を教わり、作られるようになりました。
そのため、中国の墨の事は唐墨(からすみ)と呼ばれています。
日本で初めて墨が作られるようになったのは奈良時代とされており、遣唐使として唐(中国)へ行った空海が筆とともにその製法を日本へ持ち帰った事がきっかけでした。
空海が持ち帰った墨を手本に奈良の興福寺二諦坊で製造が開始されます。
江戸時代に入ると奈良以外の各地でも墨作りが行われてきましたが、古くから技術の高い奈良に多くの職人が集まっていった事から墨作りは奈良の伝統産業として認識され、奈良が和墨のシェアの90%を占めています。
また、奈良以外では三重が有名です。
和墨と唐墨の違いは膠の種類と粘度、そして煤の配合比率が違う事に差が生じています。
和墨は煤の割合が多いため、墨のおりが早く、黒味が強いのが特徴で、作ったばかりの墨でも発色の良さが期待できます。
しかし、粘度の強い膠が使用されている事から、粘り気も強く伸びが悪いため紙に浸透しにくく、枯れた紙が必要になる場合もあります。
また、墨の寿命が短く、寿命が来ると炭素凝集が起こり膠の分解が激しくなるため墨色に濁りがでてきますが、割れにくいのが特徴です。
このように和墨は日本の気候や文化に合った墨作りを行い、唐墨とは違った独自の進化を遂げたもので、和墨、唐墨で甲乙を付けるのではなく、用途に合わせて使い分けるのが大切とされています。