創業年=1930年頃
創業者=ノエル・ペンバートン・ビリング
創業国=イギリス
コンパスカメラ(Compass Cameras Limited)は、かつてイギリスのロンドンに存在した企業である。「スーパーマリン」の創業者として知られるノエル・ペンバートン・ビリングが創業した。小型精密カメラのブランド名としても知られている。
小型精密複雑カメラとして知られる「コンパスカメラ」は、コンパスカメラ社の委託を受けて、スイスの時計メーカーであるルクルト社(現ジャガー・ルクルト)が製造した。考案したのは創設者のノエル氏である。1937年~41年の5年間に製造された。
最初の「コンパスカメラI 」は1937年に製造された。写真乾板あるいはロールフィルムを使用、24×36mm判。使用するロールフィルムは、リーダーペーパー40mm幅で6枚撮り。シャッターは時計用ゼンマイにより動作するロータリー式。シャッタースピードは1/500秒から4.5秒の22段階。レンズは、スイスの光学会社ケルン(Kern
)が製造した3群4枚テッサー型の「CCL3アナスチグマート」(35mmF3.5)。最短撮影距離0.53m。
伝統あるスイス時計メーカーの手になるだけに驚異的な出来であるが、小型軽量のボディーに考えうるありとあらゆる機能を詰め込んだような設計で使い良いものではなく、あまり売れなかったようで、収集対象の珍品となり、またコダック・エクトラと並んで複雑怪奇なカメラとして知られている。
1939年の「コンパスカメラII 」は、コンパスカメラIのマイナーチェンジ版で、バックグラスに折畳式フォーカシングルーペを装備した。またレンズがCCL3Bアナスチグマート35mmF3.5に変更されている。