中国・江蘇省宣興市出身の女性の陶芸家、茶壺作家です。
茶壺とは中国茶器の一つで、日本でいう急須と同じ役割を持つ道具で、実用性はもちろん観賞用としても高い評価を受け、コレクターが世界中に存在します。
茶壺には茶壺作家と呼ばれる陶芸家がおり、特に江蘇省宣興市は茶壺の原材料でもある質の高い紫泥の産地としても知られ、多くの茶壺作家を輩出しています。
蒋蓉も幼い頃から茶壺に親しみ育ち、茶壺作家となる事はごく自然の事でした。
11歳の時には父親に師事して陶芸を学び、その10年後には上海へ出て紫砂壺の制作を行いました。
その実力は瞬く間に上達し、女性という視点から見出した美を茶壺に反映させた作品を多く展開していきました。
蒋蓉の作品には花びらを模したものや、切り株を模したものなど従来の茶壺の形にとらわれない自由な発想から生まれるもので、これは自然から得たインスピレーションによって形となっていきました。
多くの人々を魅了する蒋蓉の作品は、周恩来首相が海外訪問をする際に他国に献上するための茶壺としても選ばれており、その活躍が認められ「中国工芸美術の大家」という称号を授与されました。
また、あまりの人気の高さから蒋蓉の作品には多くの贋作が存在します。
本物の蒋蓉の作品には「蒋蓉」という落款が使用されていますが、蒋蓉の娘の作品にも「蒋蓉」の落款が記されており、これは贋作という事ではなく「蒋蓉工房の落款」と考えるべきと中国の専門家の間では当たり前の事と認識されています。