中国・浙江省出身の篆刻家、書家です。
現代中国を代表する書家の一人で中国はもちろん、海外の愛好家にも称賛されている人物です。
名は文瀚、のちに文若と改名し、孟海は字(あざな)で、号には沙邨、蘭沙、石荒、決明などがあります。
漢方医の長男として生まれた沙孟海は、「四絶」と称賛され、中国近代でもっとも優れた芸術家と評価が高い呉昌碩の友人である馮君木から中国古典文学などを学びました。
その後、正式に呉昌碩の門下として学び、後に呉昌碩の最後の弟子としてその名を広める存在となります。
浙江大学中国文学科教授、浙江省文化財管理委員会常務委員などを経て、西泠印社(せいれいいんしゃ)の4代目の社長に就任します。
西泠印社は中国浙江省の杭州市郊外にある西湖に浮かぶ島・孤山の麓にある篆刻を中心とする学術団体、及び関連企業・庭園の名称で、初代社長には沙孟海の師である呉昌碩が就任しています。
また、日本の篆刻家や書道家とも深い関係を持っており、中国における篆刻芸術の中心であり続けています。
このように、沙孟海は常に中国書道界の中心で活躍した人物で、亡くなるまで精力的に活動を続けました。
また、筆ではなくペンでならサインに快く応じた事もあるようで、沙孟海のもとを訪れた客人の多くがペンでサインを求めたそうです。