中国・上海市出身の画家、書家です。
人物、山水、花鳥画に優れた才能を見せ、伝統技法を守りながらも近代的な技巧を取り入れた表現は高く評価されており、国内だけではなく海外でも高い評価を受けています。
特に連環画、年画、小説の挿絵などは有名で、連環画は手のひらに乗るほどのサイズの小冊子で、1ページに短い文章が附された1枚の絵が掲載され物語を紡いでいくもので、洗練された構図の中国画を見る事ができ、コレクターも多く存在しています。
程十髪は本名を程潼といい、上海市美術専科学校を卒業しています。
学校に入学するまでは特別誰かから教わった事はなく、学校で絵を学び始めた時にはすでに絵画の基礎ができていたという天才ぶりを発揮していました。
この時、上海美術学校の教師に「十髪」という風変わりな号をつけてもらい、絵画制作を行うようになりました。
陳洪綬、任伯年などの影響を受けた作風が見られますが、細筆を巧みに用いた趣のある画風で人物、竹石などを手掛ける一方、写実的な古典人物、仕女、鹿、鳩などを手掛けるなど独自の工夫を凝らし独特の画風を確立していき、上海中国画院にて画師として活躍するようになります。
後年になると少数民族を題材とした作品を多く手掛けるようになり、中国美術界にその名を刻みました。
また、海外での個展は日本が一番最初だった事から日本にも多くの程十髪の作品が残されており、現在中国では中国の美術品の輸出が厳しく制限されているため、とても貴重なものとされています。