昭和時代を代表する染色家で、その研究の第一人者としてその名が知られています。
日本の伝統的な染色品の研究を長年続け、その復元も行い、紬織、型染、友禅、更紗といった様々な技法を用いて数々の作品を残しています。
その中でもよく知られているのが紬織の経節紬(たてぶしつむぎ)で、野趣に富んだ手引きの節糸を用いたざっくりと織られた素朴な紬織は、着物、帯ともに現在でも高い人気を誇っています。
浦野理一の作品が人気となったきっかけは、小津安二郎の映画で衣装担当として映画に出演する女優たちの美しさを引き立てるコーディネートを見せた事でした。
それは優美で格調高いもので、例えばシックな地色で鬼しぼりのちりめん地に色鮮やかな手描き友禅の着物と無地の紬の帯を組み合わせた個性的な着物であった事が当時の女性たちの心を掴み、憧れの的となります。
特に縞柄や格子柄の着物が多く、一世を風靡した事はとても有名で、常に時代のニーズに合ったコーディネートを手掛けていました。
更にその人気に拍車をかけたのが、雑誌ミセスの表紙を飾っていた事でした。
多くの女性の目に触れる事で、お洒落に敏感な女性たちがそれを真似しようと浦野理一の作品は非常に人気が高まり、当時は一般の人たちの手に渡る事が難しく、浦野理一に近しい人たちが手にする事ができたと言われています。
浦野理一は自身の制作活動のかたわら、紬織、紅型、友禅など様々な技法や技術を多くの作家たちに伝える活動も行っており、浦野理一が残した功績はとても大きいものとされています。