阿波正藍染は阿波で栽培された植物「藍」を伝統ある醗酵建技法により染色され、生み出されています。
主に徳島県徳島市の吉野川上流域で行われていますが、洪水が多い地域でありながらも、その洪水によって新しい土が運ばれてくるため藍の栽培に向いており、洪水の時期が訪れる前に収穫できる事からこの地域が選ばれたと言われています。
藍染は阿波の藩主・蜂須賀至鎮の奨励によって、江戸末期に隆盛を極め、その品質の良さから「正藍」と、その他の藍は「地藍」と呼ばれ区別され、価格も3倍の値段が付けられるほどでした。
そのため、日本各地で珍重されており、「阿波の藍か、藍の阿波」かといわれるほどの栄華を極めました。
藍染の方法は生葉で染める「生葉染め(なまはぞめ)」と「発酵建て」という方法があり、阿波正藍染は葉藍を細かく刻んで発酵させて作られる「スクモ」を灰汁などで溶解して染液を作り、その液に布をつけて空気にさらして藍色を出す方法で染められています。
藍色を濃くしたい場合は、何度も染液につけて空気にさらす作業を行うため、手間と時間を必要としています。
そのため、明治時代に入ると海外からやってきた手軽な人工藍の普及によって一時衰退していきましたが、現在では天然藍染の良さが見直され、阿波正藍染も人気を取戻しています。