福田喜三郎は京都随一の刺繍の名匠として活躍し、刺繍の第一人者として認識されています。
息子・福田喜重は刺繍の分野で重要無形文化財の認定を受けており、福田喜重の創作作品には父である福田喜三郎に敬意を表して父親の落款「喜三郎」を使用しています。
そのため、福田喜三郎の作品と福田喜重の作品が混同されている事も多く、自然を流動的に表現し、糸による刺繍で微妙なグラデーションや細かい作業によって繊細で流れるような曲線が見られるものは福田喜重の作品です。
ちなみに福田喜三郎の落款の「喜三郎」の「喜」は旧字体の「㐂」を用いています。
福田喜三郎は1927年に日本刺繍の工房を立ち上げ、息子・福田喜重とともに柄付け、箔加工の分野を手掛けるようになりました。
その後、工房は息子・福田喜重に受け継がれ、引き染め加工の工房が新たに立ち上げられました。
福田喜三郎の刺繍の技は実に見事で、一つの作品を手掛けるために生地の選定から染色・摺箔にこだわり、自らが思い描いている刺繍の美しさを最大限に発揮できるようなものを選んでいます。