石川県金沢市で主に作られている織物。
加賀友禅と呼ばれるようになったのは明治以降である。
加賀御国染と呼ばれる模様染の技術に、
京友禅の技法が加わり完成したもの。
落ち着きのある実写的な草花模様を中心とした、
絵画調の柄を特徴とする。
実写を強めるための白い線は、ときには太く、ときには細くと
変化をつけることで装飾効果をも高めている。
技法は京友禅とほぼ同じだが、
京友禅は内側からぼかしを入れるのに対し、
加賀友禅は外側からぼかしを入れたり、
虫食いなどの表現で自然を巧み描きだす。
また、京友禅で見られる金箔・銀箔や刺繍などによる加飾を
加賀友禅ではほとんど行わない。
これは「京の公家文化」「加賀の武家文化」、
それぞれの社会背景に支えられたことによると考えられる。