東京都八丈島に伝わる草木染の絹織物。
黄、茶、黒の三色に染めた糸を手織りで縞柄か格子柄にする。
その際、地色を黒にすると「黒八丈」、茶にすると「鳶八丈」と呼ばれる。
「八丈」という言葉は一般的な絹織物の代名詞だった。
これが島の名前になるほど、八丈島は古くから絹織が盛んだった。
黄八丈の流行背景には諸説あるが、江戸時代後期に
白子屋お熊の入婿殺人未遂事件を脚本化した浄瑠璃「恋娘昔八丈」で
黄八丈の衣装が採用されたことから爆発的な人気を誇ったというのが有力だ。
読本や浮世絵に黄八丈が描かれているところからも人気がうかがえる。
やがて、各産地の名を冠した様々な八丈が出回るようになり、
八丈島で作られた織物とそれらを区別するために
「本場黄八丈」とも呼ばれるようになった。