鹿児島県奄美大島の特産品である大島紬の作家として知られる恵積五郎は昭和～平成時代に活躍した日本の染織家です。
「絣の魔術師」と呼ばれ、その絣技術は高い評価を受けています。
同じ大島紬を手掛ける都喜衛門と一世を風靡した事で知られ、現在は呉服店にもなかなか入荷する事のない大島紬となってしまった事から、中古市場でも需要が増えてきている大島紬の作家として挙げる事ができます。
また、お笑い芸人ホンジャマカの恵俊彰は息子という話はあまり知られていません。
恵積五郎が手掛けている大島紬は紡いだ絹糸を泥染めし手織りしたもので、薩摩藩時代では島役人以外は大島紬の着用を禁じられていました。
そのため、高級紬の代名詞とされており、見事な図案も描かれているものではなく、織り出して柄を出すため、一つの作品を完成させるまでに半年以上の時間を必要としています。
そんな高度な技術を必要とする大島紬ですが、恵積五郎は更に高度な技術を用いて、絵画として評価してもおかしくない図案を織物で表現しており、思わずため息で出てしまうほどの素晴らしい作品を生み出しています。
恵積五郎は恵大島織物の代表をつとめ後進の育成にも尽力しており、その後を恵美知雄が2代目として引き継ぎ、恵積五郎の技と伝統を受け継いでいます。
恵大島織物の最大の特徴は白大島紬にあり、通常の白大島紬は染料で染められている事が多いのですが、恵大島織物では薩摩焼の土として利用されている白恵泥を使用しています。
白恵泥を使用した白大島紬はしなやかで着心地が良く、シワになりにくいのが特徴で、現在でも高い評価を受けています。
