沖縄県宮古島で生産される上布と呼ばれる麻織物。
国の重要無形文化財に指定されている。
上布とは最も上質なものを「献上布」としたことに由来する。
しっとりとした滑らかさと上品で繊細な柄から
夏の高級着尺地として人気の高い希少品だ。
製作作業の中で最も重要な部分は「苧積み」と呼ばれるもので
大概は経験豊富な高齢者が行っている。
髪の毛ほどに細く裂いた苧麻の繊維を撚り合わせて一本にし、
さらに糸車で撚りをかけて糸を作っている。
そのため、一反分の糸を作るのに三ヵ月以上かかるという。
染め方は山藍で染め、泥染めをしてから
生機のまま生松葉の煮出し液で煮沸している。
さらに芋でんぷんの糊入れをして
生乾きのときと乾燥してから約6時間程砧打ちをする。
こうすることによって独特のろうを引いたかのような
しっとりとした光沢を出すことができている。