昭和後期から平成時代の染色家であり、
重要無形文化財「紬織」の保持者。
滋賀県近江八幡市に生まれる。
織物の習い始めから特定の師に就かず、
染織の道を志し郷里の近江八幡で独自に研究を行った。
猛烈な努力と精進の甲斐あって
1958年の日本伝統工芸展以来、4年連続で賞を受賞。
古くから伝わる縞や絣など平凡でありふれた織り文様と、
植物染料による染め糸を巧みに組み合わせることで、
庶民の普段着であった紬織りの着物を
芸術作品の域にまで昇華せしめたとして、
その努力と功績を高く評価されている。
志村の生み出す作品の魅力は、
自然界の植物から丹念に採取して絹糸に移し替えた
豊かな色彩のハーモニーにある。
特に野山から採取した草木で糸を
染めること
を「草木の抱く色をいただく」と表現するほど、
自然に対して純粋で素直な創作姿勢をとり続けている。