四世 石田不識は、東京都港区虎ノ門に石田琵琶店を構える琵琶専門の伝統工芸士で、琵琶製作修理で重要無形文化財保持者(人間国宝)に選定されています。
石田不識は日本で唯一、すべて手づくりで琵琶をつくる職人であるといわれています。
四世 石田不識は青森の生まれで、本名は石田勝雄。
宮大工であった氏は、三世 石田不識に見込まれて娘婿となりますが、 四世 石田不識を引き継いだのは三代目が昭和45年に急逝したことによります。
三代目の急逝により琵琶製造が止まってしまい、それまでの得意先や琵琶の師匠等から新規の琵琶作製や修理などの依頼が多く寄せられ、急遽先代の後を引き継ぐことになります。
自身のコラムによれば、先代から技術を仕込まれたわけではなく、急遽引き継ぐことになった四世 石田不識は、雅号を継承してから本格的に琵琶製作修理に従事し、並々ならぬ努力と研究を重ねてきたということです。
四世 石田不識は、琵琶の製作修理にあたり、適切な原材料の確保に努め、琵琶の胴から各種部材の製作までを一貫して行う技術を的確に体得します。また、琵琶の製作修理に役立てるため、琵琶の演奏技法や各種琵琶に関する専門的知識の習得に努め、演奏家の好みや特色による細かい注文に適切に応じて、演奏家から厚い信頼を寄せられているとして無形文化財等関係の選定保存技術保持者として認定されました。
石田琵琶店は、明治創業の130年の歴史を持つ日本で唯一の琵琶の専門店(平成18年度文化庁選定保存技術認定)として、多くの琵琶愛好家の信頼を集め続けています。
現在は、四世石田不識の息子である石田克佳氏が後を継ぎ、五世 石田不識として琵琶製作および、薩摩琵琶の演奏家として活躍しています。
1937年 青森県に生まれる。
1953年 宮大工の修業を始める。
1970年 四世石田不識の雅号を継承し本格的に琵琶製作修理に従事する。
1971年 日本琵琶楽協会会員になる。
1978年 高崎芸術短期大学音楽科（楽器製作）教授となる。
1993年 東京都港区長より技術功労者表彰。
2003年 文化庁長官表彰。
2006年 重要無形文化財保持者(人間国宝)に選定。
