梵鐘(ぼんしょう)は英語でTemple Bellというように、仏教の法会・儀式などで使う仏具のうちの鳴り物である「梵音具」の一種の釣り鐘です。
梵鐘の「梵」は、サンスクリット語の神聖を意味する`ブラフマン`に由来します。
梵鐘は中国・インドを経て、仏教の伝来に伴い日本に伝わりました。日本書紀に梵鐘について、562年、大伴狭手彦が高句麗から日本に持ち帰ったとの記録が残っているそうです。日本に現存する製作年代と製作地が明らかな最古の梵鐘は、京都 妙心寺の梵鐘(国宝)とされています。梵鐘は仏教法具として儀式に使われていましたが、のちには、朝夕など法要の始まる時を知らせる道具としても用いられるようになります。
梵鐘は撞木でつき鳴らし、重く尊厳のある響きと余韻が特徴です。梵鐘は青銅製のものが多く、小型のものには、まれに鉄製のものもあるそうです。小型の梵鐘はものは喚鐘(半鐘)といい、梵鐘よりも音が高く、仏事では僧侶を集合させたり、儀式の開始などの合図のために打ち鳴らす場合が多いそうです。また、喚鐘は仏事の他、火事など警報目的でも使われることがあります。喚鐘は、鐘を木製の架に掛け、床に据え置いて用いる場合もあります。
有名な梵鐘としては、「日本三名鐘」の1つである京都 平等院の梵鐘(国宝)があります。この平等院の梵鐘は1980年に60円切手のデザインにも用いられました。
また、日本三大梵鐘といわれている梵鐘が京都の方広寺、知恩院、奈良の東大寺にあります。 世界最大級の大梵鐘があるのは、熊本県玉名市にある蓮華院誕生寺奥之院で、飛龍の鐘と呼ばれる鐘です。大きさは直径2.88m、高さ4.55m、重さ37.5トンほどで、日本三大梵鐘よりも、直径も高さも上回っています。