小切子は日本の民謡「こきりこ節」などを歌って踊るときに用いられる民俗楽器で、筑子という漢字も使われます。
小切子は二本の竹で作った簡素な楽器で、「筑子」の「筑」は「竹」の意味です。小切子は、室町時代あたりの大道芸の一種で、曲芸などを行っていた「放下(ほうか)」と呼ばれる芸人が常に携帯していた楽器であったことが知られています。
小切子は、長さは23cmほどの竹が二本で、この二本の竹棒を両手に1本ずつ持って、手首を回しながら打ち鳴らします。小切子の23mほど、すなわち7寸5分長さとされていますが、長さについては、歌詞の中にも「こきりこの竹は七寸五分じゃ 長いは袖のかなかいじゃ」とあるように、これ以上長いと、着物の袖に引っ掛り邪魔になるためこの長さになったようです。また、竹筒の中にアズキ粒を入れた小切子もあったそうです。
現在は富山県五箇山のこきりこ節などの民俗芸能のなかで用いられています。五箇山のこきりこ節は日本で一番古い民謡で、もともとは五穀豊穣を祈り、百姓の労をねぎらうため、田楽法師と呼ばれる職業芸能人たちが田植えや稲刈りの間に行った踊りでした。いったんは、この五箇山のこきりこ節を伝承する人がおらず、滅び去っていくことが危惧されていましたが、昭和5年ころ最後の伝承者が探しだされ、今日まで受け継がれたというエピソードがあります。
小切子はシンプルに二本の竹を打ち鳴らすもので、軽やかな音を出します。五箇山のこきりこ節には、小切子とあわせて、竹の板を束ねて半円に構えて波打たせて鳴らす「こきりこささら」も使われます。