鈴は、土器や金属、陶器などでできた中空の外身の中に小さな玉が入っており、全体を振り動かすことで音を奏でるもので、日本でのルーツは縄文時代にクルミなどの木の実を振ると外殻や鞘の中で種子が動いて鳴ることから派生して作られた道具とも言われています。
いつから人々が鈴を使うようになったかは明らかではありませんが、古来より獣や魔物を追い払って己の生命を守る楯として、また神を引き寄せる合図として使われていたようです。縄文時代には既に土鈴と呼ばれる音を出す器物が存在し、弥生時代には吊るし鐘のように使われたといわれる銅鐸が存在しました。金属製の丸い鈴がでてきたのは、古墳時代あたりからだといわれています。
神社で鈴を鳴らして神を拝んだり、神を呼ぶという意味合いもあるお祭りの際にも音楽とあわせて鈴が使われるなど、日本での鈴は神と深いつながりがあり、宗教的意味あいが強く含まれるようです。
平安初期に書かれた歴史書「古語拾遺」にも、天照大神に天の岩戸を開けさせた天鈿女命が、鈴を身につけて踊ったとされる記述があるそうです。
和楽器の鈴としては、巫女鈴(みこすず)、巡礼鈴(じゅんれいすず)、振鈴(しんれい)などがあげられます。
巫女鈴は、
神楽鈴ともいわれ、巫女が神前で舞う時に手にもつ鈴です。
鈴の清音は強い祓いの力があり、また神々を招き寄せる力があるとして、空間を清める意味も込めて用いられます。
巡礼鈴は、お遍路さんが巡礼するときに持つ鈴で、以前は遍路の道中での熊などの獣除けとして使われていたといわれていますが、おまいりする者の煩悩を払い、清浄な心にする鈴として道中用いられています。
振鈴は、特に密教の修法で、諸尊を勧請するための鈴です。その他の鈴としては、玩具的・民具的な意味合いの風鈴や土鈴も鈴の類に該当し、九谷焼や萬古焼など陶器でてきた陶鈴などもあります。