銭太鼓は、日本の民族楽器として全国いたるところで民族芸能に用いられていますが、元々は出雲地方(現在の島根県東部)に古くから伝わる民俗的なリズム楽器です。
銭太鼓は太鼓と名前についていますが、和太鼓の一種ではありません。
銭の触れ合う音を利用し、リズム楽器として踊りの伴奏に使用したものです。
銭太鼓の形状は竹筒型とタンバリン型に分けられます。
タンバリン型は、小太鼓の縁に硬貨または硬貨状のものを取り付け、踊り手が振りながら踊るもので、主に佐賀県、青森県(えんぶり)、宮城県、埼玉県などの民族芸能に用いられます。
竹筒型は筒の中に硬貨または硬貨状のものを入れて二本一組で踊り手が振りながら踊るものです(写真は竹筒型の銭太鼓です)。竹筒型の銭太鼓は島根県の伝統民謡である「安来節」の際によく演じられます。この銭太鼓は一尺余り(約30cm)の竹をくり抜き、両端に穴のあいた銭をそれぞれ十文字になるように取りつけ閉じたものです。さらに紅白やおめでたい色合いのテープ状のフサフサや毛糸状を両端に装飾として付けたものが完成品です。
良く乾燥した竹ほど音がよいということで、煤竹は最高とされています。
銭太鼓は、銭=富を呼ぶ太鼓として、めでたい席で演じられることが多くあります。