クリストフルはフランス・パリに本社がある銀食器メーカーです。
宝石商のシャルル・クリストフルが1830年に創業し、現在まで銀食器の最高級ブランドとしてエリゼ宮やパリにある五つ星のホテル「ホテル・リッツ・パリ」をはじめとする世界の最高級ホテルや豪華客船などで使用されています。
フランスでは結婚や子供の誕生祝いに銀のカトラリーを贈る風習があり、クリストフルの銀食器は手入れを怠らなければ100年以上は使用する事ができるとして、クリストフルの銀食器が多く選ばれています。
このように親から子へ子から孫へと長く使う事ができるクリストフルの銀食器は「卓上の芸術品」とも呼ばれ、フランス王ルイ・フィリップから王室御用達の認定を受け、その後もナポレオン3世などの歴史上の著名な人物からも高い評価を受けてきました。
創業者であるシャルル・クリストフルは15歳の時に義兄の経営する宝石商に見習いとして働き始めました。
10年後には義兄より宝石商を引き継ぎ、フランスでもっとも有力な宝石商となり、50人以上の従業員を抱え、宝石、金属製品、銀細工の制作を行うようになりました。
その頃、イギリスでは産業革命が起こり、中産階級が急激に増えたため、中産階級のための上質で贅沢な生活に対する理想と期待を満たす商品の開発に取り組みました。
こうして生まれたのが金や銀のコーティングをほどこした装飾品で、シルバーと同じ輝きを持ちながらシルバーよりも価格が安いという事でたちまち話題となります。
しかし、黙っていなかったのが銀細工界で猛烈な反発に合います。
こうしてシャルル・クリストフルは幾多の障害を乗り越え、自社のシルバーコーティング製品の商標登録を行い、生産に力を注ぐと中産階級の間で急速に普及し、今まで木製のカトラリーを使用していた庶民も使用するようになりました。
そんなクリストフル製品の評判を聞きつけたフランス王ルイ・フィリップ王はノルマンディー城の私邸用のテーブルウェアをオーダーした事で、オルレアンファミリーの御用達となり、続いてナポレオン3世がテュイルリー宮殿のための食器セットを注文されクリストフルの名声は高まりました。
また、ロンドン万国博覧会ではメダルを獲得するなどわずか数年の間でクリストフルはシルバーウェアの代名詞に例えられる一流ブランドとしての地位を手に入れました。
クリストフルの製品には純銀製の「クリストフル」、40ミクロンの銀メッキの「クリストフルシルバー」、金メッキの「クリストフルゴールドプレート」、業務用の「クリストフルホテル」などたくさんのラインナップがあり、これらは常に革新的な技術を導入し、マン・レイ、ジャン・コクトーといった著名なアーティスト、前衛芸術家・ジオ・ポンティ、銀細工師・リノ・サバティーニやクリスチャン・フェルディンシュタッド、現代を代表するデザイナー・アンドレ・プットマン、マーティン・ツェケリー、オラ・イトなどその時代に合った銀食器をクリエーターたちと共に作り上げてきました。