【灰外達夫】買取作家・取扱い一覧 人間国宝・重要無形文化財保持者

灰外達夫

灰外達夫
灰外達夫(1941年~2015年)

灰外達夫


1941年石川県珠洲市に生まれた灰外達夫は、兄達が大工になるのを見て真似して大工仕事をやるものの、つまらなくなり、建具の方が面白いのではないかと思い、中学卒業後石川県珠洲郡正院町にある建具店で建具の修行を初めました。

建具店では親方から仕事を教えられず、親方の作業をじっと見ていても怒られた為、「これではいつまでたっても技術を覚えられない」と思った灰外達夫は、トイレに行く隙に何度もチラ見をし、食後一人で親方の作品を触りながら自分の見た記憶と重ね合わせメモします。

その後皆が寝静まった後、メモと自分の記憶を整理するという作業を毎日行っていた為、睡眠時間は2~3時間程だったそうです。

しかし、この努力が実を結び通常3年で覚える仕事を1年で覚えるという驚愕な事を成し遂げます。

若い頃の努力もあり、30歳で独立し建具店を営みました。


独立後の活躍


37歳では金沢市創作工芸展に作品を出品し受賞、以後3回の受賞を収めます。

また、灰外達夫は木工芸だけではなく陶芸での作品も制作していまして、39歳では直径約1.82メートル大皿の制作に成功しギネスブックに掲載されました。

しかし、なぜ木工芸家の灰外達夫が陶芸作品を作る事になったのでしょうか。

それは、灰外達夫が飾り皿のために使う木の台を頼まれた時、1.82メートルくらいの大皿が作れるのかという話題になり、灰外達夫は出来ると言ったところ他の陶芸家達から笑われた為、「それならやってやる!」と陶芸に挑戦したそうです。

自分が面白いと思った事に対して出来ないと言われると「絶対にやってやる」という気持ちになり、そうなったら誰も止められない程熱が上がるタイプの灰外達夫は、窯作りから土造りまで研究に研究を重ね、奥さんと一緒に大皿を作り上げる事に成功します。

40歳では、木工芸作品を日本伝統工芸展に出品し初入選を果たし、翌年の東京松坂屋で開催された個展ではお皿を出品するなど陶芸と木工芸を制作する二足のわらじ生活を過ごしました。

その後は個展を開いたり、鑑査委員として作品の審査を行ったりと功績を残し、71歳では木工芸で人間国宝に選ばれますが、74歳で惜しまれつつこの世を去りました。

灰外達夫年表

1941年 石川県珠洲市に生まれる

1956年 中学卒業後、石川県珠洲郡正院町にて建具の修業を始めます

1978年 金沢市創作工芸展に作品を出品し受賞、以後3回受賞します

1980年 直径約1.82メートルの日本一大皿焼き上げに成功しギネスブックに掲載されます

1981年 日本伝統工芸展に作品を出品し初入選を果たします

1982年 東京松坂屋で開かれた個展に大皿を出品します

1983年 2m×6mの日本一の大きさの陶板の焼き上げに成功します

1984年 現代美術展で作品を出品し受賞します

1987年 教育功労者として表彰されます

1988年 高さ4.5m×直径2.5mの世界一大きい縄文土器の製作の指導者となります

1989年 日本伝統工芸展の正会員に任命されます
               金沢大和画廊にてアートサロン個展を開催します

1990年 直径約1.82mの春秋花蝶図の大皿を制作し金沢市に寄贈します

1991年 石川伝統工芸展に作品を出品し優秀賞を受賞、翌年も優秀賞を受賞します


1993年 内閣総理大臣から芸術・文化関係者懇親のつどいに招待されます

1994年 直径2.12mの青手樹木図・色絵布袋図が描かれた古九谷写の大皿を制作します

1995年 石川伝統工芸展の鑑査委員に任命され、以後5回鑑査委員として活躍する

1996年 日本伝統工芸木竹展に作品を出品し日本工芸会賞を受賞します


1998年 石川県立輪島漆芸技術研究所の講師として11年間務めます
               日本伝統工芸木竹展にて鑑査委員を務め以後2回務めます

1999年 日本橋三越で個展を開きます
               石川県立美術館で開催された石川県作家選抜美術展に作品を出品します

2000年 日本伝統工芸木竹展に作品を出品し文化庁長官賞を受賞します

2001年 石川伝統工芸展に作品を出品し特別賞を受賞します

2003年 日本伝統工芸展に出品しNHK会長賞を受賞した作品が文化庁買上となります


2004年 日本伝統工芸展で入選した神代杉造木象嵌短冊箱が宮内庁買上となります

2007年 金沢能楽美術館で行われた親子展に作品を出品します
               奈良県の西大寺に所蔵されている無形文化財の朱塗輪花天目盆の模造を制作します
               日本伝統工芸展の鑑査委員に任命され以後2回鑑査委員として活躍します

2008年 紫綬褒章を受章します

2009年 宮中歌会始の儀に陪聴者として招待されます
               加賀百万石で開催された伝統工芸逸品展に作品を出品します

2012年  木工芸の逸曲で人間国宝に認定されます
              皇居にて天皇、皇后両陛下に拝謁されます

2013年 石川県輪島漆芸技術研修所の主任講師として活躍します
               伊勢神宮式年遷宮で献納されます

2015年 死去

灰外達夫代表作

神代楡挽曲造食籠

神代欅造木象嵌隅切飾盆

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