秋山信子 1928年に大阪市生まれ。
人形作りを始めたきっかけは、自身が病気で仕事を続けられなった
際に、通院していた病院の待合室に偶然飾ってあった手作り人形
に魅せられ、自らも人形作りを始めます。
27歳から人形作家の大林蘇乃に師事し、技術を身に付けた後、
4年後の1959年に日本伝統工芸展に出品した
『望郷』で初入選をした後、同年に全日本女流人形展で受賞。
新進気鋭の人形作家として知名度をあげていきます。
≪桐塑(とうそ)人形»
手掛ける作品のその特徴技法として、
桐の木粉(おが屑)と生麸糊を練りあげた
弾性のある粘土状の素材で素地を作り、
桐の木の芯に付けて成形したあと、乾燥するまでの間は、
自由に造形を変えたり整えたりする事ができます。
乾燥させた後は、
木材同様に彫刻や、胡粉仕上げ、和紙貼、木目込み、彩色など
様々な技法で、人形全体を仕上げていきます。
原型を粘土で作り、頭や手足などの造形を自分で決め、
一から作り、着せる衣装は、
和紙を貼るのか…布を染めて貼るのか…
また持たせる小物一つにしても、全て手作り(団扇や・祭り物etc…)
想像力と緻密さ、独創性が無いと、とても出来ない作業です。
これまでに手掛けた人形は250~300体程あり、
一体の人形を完成させる工程は、
ゆうに3か月以上の時間を費やし、
こうして手掛けられ、生み出された作品のモチーフは、
独自のスタイルを確立させ、見る側を魅了しています。
沖縄やアイヌのほか、祭礼行事や中国などの少数民族を題材とした
作品が多数あり、情緒豊かな世界観を演出したものが見受けられ、
どの人形にも温かみがあり、
その表情は穏やかな気持ちにさせてくれます。
『美しい』と『きれい』は似て非なるもので、
『きれい』は表面的なきらびやかさ。
『美しい』は内面から滲み出るもの。
外面ではなく、内面からにじみでる "美" を人形の世界でも
感じ取っていたもらいたいと制作にあたってのこだわりを
語っています。