截金師・江里佐代子(昭和20年~平成19年)は、
2002年に『截金』の人間国宝(重要無形文化財保持者)に
認定されました。
伝統的な京刺繍の老舗に生まれた佐代子は、
1974年に仏師である江里康慧と結婚後、
截金と出会います。
その後、截金技法が途絶えることを
危惧していた江里家の意向を汲み截金の技法を学びます。
実は美術大学を出た江里佐代子ですが、
染色や日本画などについては学んでいましたが、
美術の道に進むことはしませんでした。
転機となったのが仏師であった江里康慧と
結婚したことだったと言えるでしょう。
截金の技法を多くの人に知ってもらうために夫である
江里康慧が彫刻をした仏像に截金を施した作品展を開催して
截金技法を普及したことで知られています。
截金(きりかね/切金)は、
細金(ほそがね)とも呼ばれ金箔・銀箔・プラチナ箔を、
数枚焼き合わせて
細く直線状に切ったものを、筆と接着剤を用いて貼ること
によって文様を表現する伝統技法の事を言います。
日本においては特に仏像・仏画の衣や装身具を荘厳するために
発達してきた技法ですが、
現代では仏像への荘厳にとどまらず、
工芸品として利用されることも多く、
京都市の伝統産業として京の工芸品に認定されています。
京都迎賓館をはじめとした公共施設などの壁面装飾や、
スクリーンなどの大規模な作品にも取り組み、
細やか形の香合や飾筥なども
たくさん制作し、截金技法の新しい在り方の可能性を
追求しました。
惜しくも62歳という若さで急逝した江里佐代子でしたが、
技術や精神を途切れさせないように、と
継がれる截金の "技と心" は後世に伝わり、
娘である截金師:江里朋子(左座朋子)や工房の職人で引き継ぎ、
新たな截金作品を作り続けています。
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