岡山県出身の昭和~平成時代に活躍した日本の陶芸家です。
重要無形文化財「備前焼」の保持者として活躍し、「陶秀と言えば茶陶」と言われるほど、茶陶に優れた作品が多い事で知られています。
山本陶秀は岡山県備前市伊部で生まれており、この地域は備前焼が盛んに焼かれる地域である事から「伊部焼」という別名で呼ばれる事があります。
そんな環境下で育った山本陶秀は15歳で当時の伊部で最大の窯元・黄薇堂へ見習いとして入りました。
ここで焼物の技術を習得し、27歳の時に自分の窯を築き独立して備前焼作家としての道を歩み始めました。
この時、すでにロクロの技術が素晴らしく「ロクロの達人」と周囲から呼ばれていたようです。
研究熱心だった山本陶秀は、当時高級車を購入できるほど高価だった茶道具や稽古など茶道について書かれていた本、「大正名器鑑」を茶陶作りのために購入し、多くの茶人たちから愛される茶陶の研究に励みました。
その一方で、京都の陶芸家・楠部弥弌に師事して釉薬について学び、技術に磨きをかけていきます。
そんな山本陶秀は安土・桃山期の茶陶を目指しており、その研究の第一人者でもある金重陶陽に影響され、卓越したロクロ技術とこれまでに培ってきた技の融合を試みます。
こうして、人為的に窯変を作る事に成功し、緋襷、流れ胡麻など安土・桃山期風の備前焼を見事に再現し、均整のとれた気品あふれる独自の茶陶の世界を展開しました。
また、海外での活動も目立ち、ブリュッセル万国博覧会でグランプリ金賞を受賞し、スペイン国王のフアン・カルロス1世とソフィア王妃に花瓶を献上するなど備前焼作家としてその名をしっかりと刻みこみました。