石川県出身の昭和時代に活躍する日本の木工芸家です。
伝統的な挽物技法をベースに高度なろくろ技術を駆使し、木目を活かしたシンプルかつ端正な作品を手掛ける事で知られています。
巧みな筋挽き、縮れ象嵌、鼈甲、珊瑚など多彩な手法によって華やかさを加味するなど豊かな表現方法で山中漆器に新風を吹き込みました。
重要無形文化財「木工芸」保持者でもあり、木工芸の重要無形文化財の認定は5番目となっています。
川北良造は木工芸家・川北浩一の子として生まれ、中学校を卒業すると父親の工房で家業に従事しました。
その後、重要無形文化財「木工芸」保持者である氷見晃堂に師事します。
氷見晃堂は江戸時代に途絶えてしまっていた硬い年輪の部分を浮き上がらせる技法である砂磨き法を研究し復活させた人物で、2番目に木工芸の重要無形文化財の認定を受けている人物でした。
川北良造も師である氷見晃堂に負けないよう試行錯誤を重ね、拭漆の技法を高め、深みのある作品を生み出しました。
拭漆とは顔料を加えていない漆を木地に塗ってはふき取る作業を何度も繰り返し、木目を鮮やかに見せる手法の事で、根気のいる作業が要求されます。
また、近年では正倉院宝物の復元にも力をそそいでおり、象嵌の技法を取り入れた作品も展開しています。