香川県出身の漆芸家で、本名を雪衛(ゆきえ)といい、のちに雪枝と改めました。
香川県立工芸学校(現・香川県立高松工芸高等学校)を卒業すると大阪の山中商会に勤め、中国漆器の修理にあたっていました。
その後、地元へ戻る事となり、製法が途絶えてしまっていた香川漆器の研究を重ね、独学で香川漆器の復興に成功します。
香川漆器は別名、讃岐漆器、高松漆器とも呼ばれており、その技法は大きく分けて蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)の3種類に分けられています。
磯井如真はその中でも蒟醤という漆を何層にも重ねて厚みを持たせた後、文様を彫り、彫った模様を色漆で埋めていき、炭研ぎをして余分な漆を取り除いて完成させる技法を得意としており、重要無形文化財「蒟醤」保持者に認定されています。
この蒟醤の技法をさらに発展させた「点彫り蒟醤」という技法を創案しており、凸版印刷をヒントに生み出されたものでした。
これまでの蒟醤の技法では、線彫りであったため、くっきりとした線での表現しかできませんでしたが、点で彫る事によって線に強弱をつける事ができ、ボカシの効果や陰影をつけた立体的な画面に仕上げる事が可能になりました。
もちろん、香川漆器を復興させただけではなく、後進の育成にも尽力しており、三男の磯井正美、太田儔など重要無形文化財の認定を受けた弟子も輩出しています。