茶事七式
茶事七式とは茶事の形式の七つの名称を取りまとめた呼び名です。
七事式が制定された後の徳川家(江戸)時代の半ば~後半期にかけ、茶事七式は、誰が定めたか不明なまま今に称され続いています。
- 朝の茶事 朝茶事ともいい、朝食を兼ね夏季の風炉の時期に行われる茶事
- 正午の茶事 昼食を兼ねる茶事の基本形式
- 跡見の茶事 朝茶や正午の茶事の後、その会に参会出来なかった人・招かれてはいない客が亭主に所望して開かれる茶事
- 不時の茶事 予定を立てた来客ではない臨時の客をもてなす茶事「臨時の茶事」と呼ばれる
- 飯後の茶事 食事のあとに行う菓子だけの茶事 「菓子会」「菓子の茶事」とも呼ばれる
- 夜咄の茶事 炉の季節の11月~2月にかけ立春までの期間に、夕暮れ時から行われる茶事
- 暁の茶事 12月から2月の極寒の朝五時頃から始まる茶事「残灯」「夜込み」とも呼ばれる
茶事七式 比較
七つの茶事を比較してみます。茶事は基本的には5人程度までの茶会を指しますが、票の中の客人数では参考文献から人数を推測しています。客人の服装に関して「自由」というのは茶道の基礎の身だしなみと等しい程度と考えて頂ければと思います。
茶事名
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時期
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客人数
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会の順序
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亭主・臨機応変さ
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客人の服装
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所要時間
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朝の茶事
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五月~八月
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4人程度まで
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あり
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× 段取りの良さが特に必要
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訪問着(夏季は絽、紗、麻も可
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3時間程度
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正午の茶事
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年間通して
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小間(3人程度)~大寄せ(30~40人程度まで)
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あり
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○段取りの良さが必要
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訪問着
フォーマル洋装
お子様も同じ
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4~5.5時間程度
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跡見の茶事
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年間通して
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8人程度まで
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△・亭主・客次第
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○亭主次第
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訪問着・洋服
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3時間程度
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不時の茶事
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年間通して
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1人から
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なし・亭主判断
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◎特に必要
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失礼がない限り自由
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1~2時間程度
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飯後の茶事
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年間通して
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3~6人程度
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あり 調整可
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○手際の良さが求められる
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訪問儀・自由
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2~3時間程度
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夜咄の茶事
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十一月~
立春
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5人程度まで
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あり
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○段取りの良さが特に必要
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訪問着(防寒)
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2.5~3時間程度 |
暁の茶事
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一月~三月
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3~4人程度まで
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あり
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× 段取りの良さ、手際の良さが特に必要
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訪問着(防寒)
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3時間程度
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最も多く催され機会のある茶事は「正午の茶事」、最も少ない茶事はやはり上級者向けの「暁の茶事」でしょうか。不時の茶事のような状況は日ごろ起きていそうなものですね。
茶事七式はほんのわずかな「もてなし」の表の場であり、日ごろには暦ごとの稽古の積み重ねもありますので茶道を続けると一年過ぎるのがとても速く感じる事でしょう。稽古がないときは隙間の時間でご自身で点前の動きの練習や会の流れを学習される方も多いといいます。そして左利きの方であれば右手での練習をされるというのです。私は茶道の稽古を習ってはいませんが茶道の智慧や歴史については、学ぶほど尊敬を感じております。