見立て 好み物 写し
茶の湯をたしなまれた年数が比較的長い方は、茶の湯の茶碗や茶道具をネットショップ、茶道具屋やデパート、会員制の古美術店など様々な方法で購入されることと思います。その中に、作者名と道具の名前だけが書かれている茶道具と「見立」「~写し」「~好み」と商品名を付けられた茶道具がありますね。これらの意味の違いはどこにあるのでしょうか。室来を計画し、お茶道具を購入する際には、些細なように感じるこれらのことをしっかり把握したいものです。
美術品・骨董品としての価値観に沿う計画的なコレクション蒐集と、実際の稽古で使うこと・暮らしを彩る楽しみのために良い茶道具はお買い分け、使い分けをしていく事でリスクを分散し、将来がっかりしない買取を志向するお客様も、私どもを利用される方の中におられます。
見立て
商品名としての明記例:「見立 ~~ 振出」「見立て 義山 茶入」など
「見立て」とは元来は千利休が始めた 「物を本来のあるべき姿とは違う物として見る」という道具選びの方法に由来して、「見立て」に向いたお道具に付けられています。
茶専用の道具ではないがひとひねり有る形や色が面白いもの、珍しいものや、外国の物を花入れや茶入として、その物の大きさと形に応じた使い道に加えたいときにぴったりです。
見立ての楽しみ
利休は、もとは水筒として用いられていた瓢箪を花入れに用いたり、船に乗るために作られた小さい潜り口をもとに「躙り口」を取り入れたことで有名ですね。見立ては、元々は文芸における和歌や漢詩の技法が由来しました。
近代では仏教美術も取り入れられており、金工品、ガラス、外国からの輸入品が見立てられています。
旅先の外国でなにかを「見立て」に使えないかと探してみることも楽しい事でしょう。
好み物
商品名としての明記例:「~~斎好 茶杓 銘『春霞』」など
多くの家元の好み物は、形を写して伝承され、稽古場や茶室で使用されており、花押があるものには買取を望めます。
好み物は、茶人の創意工夫からくる独自のデザインを提示され、茶人の意思を理解した職人の手で作られた、今でいうところの茶人による「オーダーメイド」である、茶人と職家の職人の共同制作で作られた茶道具を指します。
現在においても家元では「職家」(しょっか、千家の呼び方)という、家元の為の道具を作る選ばれし家系の作家の人々の手による茶道具が作られております。職家の人々は家元との交流が深く、月の初めに千家に集まり、家元の薄茶を一服喫する間に家元の意向と趣向を聞き、職家が過去に手がけたお道具のよしあしなどを相談します。多くの好み物は職家と家元の自然なやり取りの中から生まれます。お菓子や茶室の設計デザインなど茶の湯に必要な品物全般にこの「好み物」は作り出され、茶人の人生経験や美へのこだわりが表れた茶道具になっています。そこには、千家十職と俗に呼ばれる十の職家や老舗菓子補と御家元の間で代々続く、かけがえのない交流の姿を感じ取ることができるでしょう。
写し
商品名としての明記例: 「仁清写し ~~ 茶碗」「~名物 写し ~~」「光悦写し ~~ 茶碗」「~好み写し ~~」
先に紹介した好み物や元々の作家オリジナルがある作品の様式と同じ技法、同じ形で作った茶道具をこのように題しています。京焼の色絵茶碗や数茶碗は四季折々の図案が施され、沢山おもちの方もいらっしゃることと思います。
「写し」のお茶碗などにおいても茶だまりの裏側にあたる高台の中や高台の脇に陶印が押されているものがありますので、陶印があるかどうかご確認ください。
茶道具買取りはいわの美術へ
いわの美術では様々な茶道具の買取りを行っており、お客様が納得いくお取引とすることを心がけております。宅配・出張におきましては、事前のお問い合わせの段階でしっかりとお客様のご要望を拝聴し、それに対する正確な現状をお話しいたします。
茶道具に関する知識を持っているだけにとどまらず、元の持ち主様の背景からどのようにコレクションが育まれたのかを汲む感性に満ちた査定担当がいるいわの美術を、ぜひご用命くださいませ。